【採集記】東京都(23区内)産サツマゴキブリ採集
新米(じゃない)虫屋(Twitter:@aOwr9r9MrlnGuHs)とAさん(仮名)と一緒に23区内産のサツマゴキブリを採集しに行ってきました。
電車内で待ち合わせ(失敗したが)、午前7:30ごろに目的の場所に到着。今回の狙いはサツマゴキブリとクマソ。
「クマソは沢山いるらしい」と新米虫屋。とりあえずソテツの場所を確認して、まだ飛んでなかったのでサツマを探すことに。
サツマは朽木の裏なんかに付いているイメージがあったので、そこらへんに転がっている朽木をひっくり返したり樹皮をめくったりしてみる。と...
コガタスズメバチ
いきなりだったのでびっくりしました(笑)
カブトムシの幼虫。でかい。
樹皮をめくると沢山のヤマトアカヤスデも。
どんどん朽木を見ていくが、目的のサツマは居ない。少し落ち葉を掘ってみるが、モリチャばかり。どこだ、サツマ。材の数も少なく、希望は小さくなっていく。ここには居そう!と思っても居ない。ダメだ、採れない気がする。
しばらく歩いていると海辺に出た。朽木も無いし絶対採れない。お腹も空いたしそろそろ売店行くかぁ、と諦めて歩いていると、木材が積まれているのを発見。見てみると...
いた!!
サツマゴキブリを発見!ペリプラと違って歩くのが遅いので、見つけてしまえばこっちのもんです。
木材をどけてみると、出るわ出るわ、大量のサツマ。採れるだけ採って昼休憩。逃げた奴らは後で採ることにしよう。
お昼はなっちゃん(ぶどう)とたこ焼き。
休憩した後はクマソ。気温も20℃くらいあって天気も良いので流石に採れるだろうと思っていた。その時は。
が、探しても居ない。何故だ。こんなに良い天気だというのに。ソテツの周りを沢山飛んでいる姿を見られると思っていたので、ちょっと残念。
近くのクモの巣を見てみたが、クマソはかかっていない。沢山いるなら1頭くらいはかかっていそうだが。うーん、なんとなく今日は無理そう。
気を取り直してサツマ採集。
午前に行ったのと同じところでの採集。山になった木材をどけていく。大量のシロアリ、サツマ、ワラジムシ、時々クロゴキ、カニ、ムカデ。
山になった木材にいるのは採りつくしたので、周りの漂着物も見てみる。流石に海に近すぎるし居ないか、なんて話していると
ちゃんと居ました。いやぁ、強い。塩とか全然大丈夫なんですね。
ちょっと前まで「サツマの幼虫は半水生」と言われていました。自ら水に入ることは無いようですし陸生っぽいですが、もしかすると海水も平気なのかもしれません。
サツマゴキブリが徐々に北上している理由として言われているのが、「ソテツ等の植物の運搬に付いてきた」というのと、「黒潮に乗ってくる」というもの。僕は今まで後者に関しては半信半疑でしたが、これを見ると納得できました。あとは、木材の運搬に付いてきたっていうのもありそう。
今回採れたサツマは、南西諸島のサツマ(貰い物)に比べて少し大きめ。餌の質や気温等の違いも関係していそうだが、ちょっと引っかかる。海外からの輸入に付いてきた可能性も十分にあると思うので、調べてみたい。
今回の採集で思ったのは、サツマは意外と移動しないのでは?ということ。生息地をバンバン広げているイメージがあるが、実際は局所的に沢山いる感じ。(場所によって違うかもしれませんが。)勿論、年月が経つにつれて生息地は拡大していくんだろうが、急速に広がっていくようなことは無さそうだ。今回実際にサツマが採れたのは10×30mくらいの場所。その周りでは全然採れなかった。この狭い場所だけで50頭以上。
こんなに大量に採れると思っていなかったので、容器は大変なことに。
ゆるく採集をしていると、夕日が沈んできた。そこに高校生くらいのカップルがやってきた。夕日が2人をロマンチックに照らしている。でも良いのだ。僕らは今、ゴキブリと共に夕日に照らされている。幸せだ。人間との恋愛などいつまで続くか分からないが、ゴキブリはこちらが愛し続ける限りいつまでも一緒だ。大好きだよ。
日も沈み、すっかり真っ暗。帰る支度をしていると、採り尽くしたはずのサツマがうろちょろ。やはりサツマも夜行性。結構活発に動き回っていた。こんなに動けるのに何故局所的に生息してるんだろうか。謎は深まるばかりだ。
今回の結果(お持ち帰り)
アカヤスデ(10くらい)
サツマゴキブリ(50↑)
アカテガニ(1)
トビズムカデ(レッドレッグ)(1)
良い感じの流木と板
※3人での結果
お持ち帰り後の写真
クマソが見られなかったのは残念でしたが、楽しい採集でした。
おわり。
それでは、また。
【採集道具】筆
こんにちは。今回は最強の昆虫採集道具について書きます。
最強の採集道具、それは...
「筆」です!
「昆虫採集に筆?」と思うかもしれませんが、これがめちゃくちゃ使いやすいんです!
僕が採集で使っている筆はこちら。
Pentel 画筆 14号(丸・大) ZBPR-14
リンクを貼ろうとして気付いたのですが、もう売ってないっぽい...?この筆、実は僕が小学生のときに使っていたもの。
似たようなのを見つけたのでそちらのリンクを貼っておきます。
商品説明によると、
独自製法の特殊毛材を使った、水ふくみとコシの強さのバランスが良い画筆
らしいです。そうそう、これこれ。この特殊毛材がポイント。何故そこが大事なのかは後で詳しく書きますね。
どうやって採集に使うのか。
虫を払い落としたり、木の隙間等から追い出したりして使います。
僕が筆をよく使うのはゴキブリを採集するとき。
地面を歩いているゴキはプリンカップや遠沈管を被せると採れますが、木についている奴はかなり厳しい。特にペリプラなんかは動きが速いので、サササッ...っと木の上の方に逃げられてしまったら終わりです。
絶対に逃げられたくない!ここで、筆の登場です。木に付いているゴキを筆で払い落として炭カルを塗ったプリンカップでキャッチ!これだけですが、筆の使い方に少しコツがあります。
それは、筆の毛のコシを使って虫を浮かせることです。
真下に落とすと、木に着地してどこかに逃げられる可能性が高くなりますし、プリンカップと木の隙間から落ちてしまう可能性もあります。
叩いて落とすイメージではなく、"払い"落とすイメージです。大事なのは角度。虫の斜め上から払えば自然に宙に浮くので、それをキャッチです。とはいえ、角度を気にしすぎて調節しているあいだに逃げられてしまっては困るので、スピーディーにいきましょう。
筆の良いところはなんと言っても隙間をつくらないこと。筆を使えば初令幼虫なんかも余裕です。
ゴキブリを例にして書いてきましたが、勿論他の虫でも使えます。ムカデなんかの大きな奇蟲からピンセットではつかみにくい小さな虫まで、何にでも使えます。
筆が活躍するのは木での採集だけではありません!この前のワモンゴキブリ採集では、筆を使って側溝蓋の穴からワモンを追い出しました。万能です。
↓ワモン採集の記事はこちら
【採集記】東京都産ワモンゴキブリ採集 - Ves1164’s blog
Pentelの筆はナイロン100%なので、いくら雑に扱っても毛が切れないし、汚れても洗えばすぐに綺麗になります。しかもコシが強い!オススメです。
ダニ屋の方は小さな筆を使って採集している人も多いですが、他の虫屋さんが筆を使っているのはあまり見ない気がします。(僕の周りだけかもしれませんが。)是非、採集道具に筆を取り入れてみてください。
それでは、また。
【採集記】東京都産ワモンゴキブリ採集
東京都産ワモンゴキブリを求めて都市部へ!!
今回は、新米虫屋(Twitter:@aOwr9r9MrlnGuHs)とAさん(仮名)と僕の3人での採集。
2021年9月10日(金)夜、電車とバスを乗り継いで、少し迷いながらも目的の場所へ到着。Aさん(仮名)は途中からの参戦なので、新米虫屋と僕の2人で採集スタート。都市部なので人が沢山。ヘッドライトを着けて遠沈管や筆を持っている僕らはただの不審者です。
到着したはいいものの、どこにいるのか分からず、不安は募るばかり。
とりあえず、そこらへんの落ち葉を漁ってみると...
ゴキブリを発見!モリチャバネゴキブリでした。かわいい。
とりあえず、ゴキブリ坊主は避けられたので一安心。この調子でワモン、あわよくばトビイロも採りたいところ。ここで予め用意しておいたトラップを何個か設置。今回使うトラップは、炭カルを塗ったプリンカップにベイトを入れ、周りを新聞紙で覆ってゴキブリが登りやすいようにしたもの。
そうこうしているうちに、Aさん(仮名)も到着。3人で落ち葉を漁るが...モリチャバネばかりで本命はいなそう。(落ち葉を漁っている時に毛虫に刺され、後に僕は苦しむことになる。)
ここで新米虫屋は帰宅。現地についてから約30分。(バス停で迷わなければもうちょっと居られたよなぁ...申し訳ない。)
モリチャ天国に別れを告げ、近くの公園へ。
少し歩いてみると、何かが飛んだ。
...ワモンだ!!
すかさずプリンカップを被せて捕獲しようとしたが、逃げられてしまった。でも良いんだ。いることは確認できたんだからあとは採るだけ。そう、採るだけだ。膨らむ期待、速まる鼓動、強まる偏頭痛。
逃げられたあたりにトラップを仕掛け、ルッキング開始。
おぉ、沢山いる!
側溝蓋から顔を出してこちらを窺っているワモンを何頭か発見。でも賢い。危険を感じたらすぐに側溝蓋の穴の中に隠れられるようにしている。
なるべく静かに近づいて、筆で側溝蓋の穴から追い出して採るしか無さそうだ。相手はワモン。気配を消すのは元々得意なので問題ない。問題はスピード。精神統一。いざ!!
筆でワモンを追い出す。逃げるワモン。プリンカップを被せて...捕獲!!
油断は禁物。逆さになったプリンカップに紙を差し込んで裏返し、蓋を閉める。
よし!!!
慣れればその後は速い。次々とワモンを捕獲。
側溝蓋の上やその周りにもトラップを設置。
何分か待つと...
トラップでも捕獲!
いやぁ、自分が作ったトラップで採れると嬉しい!
Aさん(仮名)も無事ワモンを採り、2人とも大満足。
約2時間で♂×4、♀×2を採集。これなら繁殖も問題なくできそうだ。
もういい時間だったので、帰ることに。公園から出て駅に向かう。
あれ、こんなにゴキブリいたっけ?
周囲を見渡せばゴキブリだらけ。だいたい1㎡に3~4頭くらい。公園では1頭も見かけなかったクロゴキブリだ。少し歩くとワモンゴキブリも発見。
公園→ワモンだけ
歩道→クロゴキだけゾーン
ワモン,クロゴキどちらもいるゾーン
こんな感じ。棲み分けを調べるのも面白そうだ。
ワモン,クロゴキどちらもいるゾーンでは、クロゴキの♂がワモンの♂に向かって翅を上げる、威嚇のような行動も確認できた。フィールドでは飼育で見られないような行動が見られるので面白い。(感動していて動画や写真を撮るのは忘れてしまった。)
飼育下でワモンとクロゴキを同じケースに入れたら同じような行動をするのだろうか。試してみたい。
本格的に時間がまずくなってきたので、急いでトラップを回収して撤収。結局、公園外のトラップにはナメクジしか入っていなかったが、総合的に見ればワモンも採れて面白い行動も観察できたので大満足。本当に良い採集でした。
おわり。
それでは、また。
ブログ始めました
ブログを始めてみました。
もともとTwitterで色々書いていたのですが、140字って少ない!何も書けない!!...ということで、ブログやってみようかなーと思いました。
Twitter、好きなんだけど検索しづらいし情報が埋もれるのが難点。写真とか、ちょっと真面目な虫の話をするときは学名をつけてtweetするようにしてるけど、それでもやっぱり埋もれるなーと。
この前、クロゴキの威嚇について調べたいなと思って「クロゴキブリ 威嚇」ってTwitterで検索したら...
「父親がクロゴキに威嚇した。」とか、求めてないtweetしか出てこない。
学名で検索しても検索結果無し。
やっぱりTwitterで学術的なことを調べるのは無理があるか。
思い返してみれば、ちょっと学術的なことを調べるときはいつもブログにお世話になっている。Google Scholarも良いけど。学術的とまではいかなくても、飼育方法なんかもブログで見ることが多い。
僕が人の為になるブログを書けるのかと聞かれればYESとは言えないですが、飼育や採集について等など、些細なことでも書いて発信できたらいいなと思います。
あとは自分用の備忘録。
文章から語彙力の無さが滲み出ると思いますが、読んで貰えると嬉しいです。
それでは、また。